社内DXに取り組む私が読んだ本を紹介するブログ

30代男性がDX推進に苦戦する中でヒントを得ようと読んだ本の学びをシェアします。

【書評】稲盛和夫の実学 経営と会計

訪問いただきありがとうございます!

この本は以下のような課題をお持ちの方にオススメです。

  • 経営の実践的な考え方を学んで自身の考えをアップデートしたい
  • 経営における会計の役割を知り、業務に活かしたい

これらの課題について、本書の概要と社内DXに取り組んでいる私の学びを書きます。

経営の実践的な考え方を学んで自身の考えをアップデートしたい

本書では稲盛和夫氏の考える経営哲学が7つの原則として説明されています。

  1. キャッシュベース経営の原則
  2. 一対一の対応の原則
  3. 筋肉質経営の原則
  4. 完璧主義の原則
  5. ダブルチェックの原則
  6. 採算向上の原
  7. ガラス張り経営の原則

ざっくりまとめると、

  • 計算上の利便性ではなく現実をリアルタイムに反映することに拘る
  • 無駄を省く
  • 100%の正しさに拘り不正を防ぐ
  • 全従業員に対して経営状況をオープンにして、各人が付加価値を追求する

ことと言えます。

印象に残った考えについて紹介していきます。

原理原則に沿った会計を行う

原理原則に沿うと、企業経営の実態を正確に把握するために、モノ・お金と伝票を一対一で対応させる必要がある。

対応させるタイミングも同時で無ければならない。でなければ、取引が月末間近の場合に商品は売れたのにお金は無いというように実態を正確に表すことができない。

また、設備の原価償却は「法定耐用年数」に沿って行われるが、大まかな分類で年数が決められているため、実際の耐用年数と合わない時がある。

実際の耐用年数と法定耐用年数が合っていない場合、年間の設備購入費用は現実を正しく反映できないため、利益を過剰もしくは過小に計算することになる。

これは経営の原則にも会計の原則にも反するため、京セラでは「自主耐用年数」を定め、実際に即した会計を行っている。

このように会計の常識とされていることでも原理原則に立ち返ってあるべき姿を稲盛氏は追求してきました。

何事においても、物事の本質にまでさかのぼろうとはせず、ただ常識とされていることにそのまま従えば、自分の責任で考えて判断する必要はなくなる。

本質に立ち返って無駄を省く

利益は売上から経費を引いたものなので、経営の原点は「売上を最大に、経費を最小に」を追求すること。

例えば、生産性ばかりを追求して高価な最新鋭の機械を導入するのではなく、生産性と投資費用の観点で旧式の機械の方が利益は大きくなるのでは無いかと考える。

最新式が良いに決まっている、売り上げが増えれば経費は増えるものといった常識に惑わされることなく、経営の原点を常に意識することが必要です。

私の学び

科学同様、会計の世界にも原理原則がある。稲盛氏は人として正しいことをするという原則のもと、数字に嘘をつかない会計に徹していた。時代によって会計手法は変わるかもしれないが、原理原則は何か?本質は何か?という問いを常に持ち、常識に惑わされないようにする。

また流行りのESGやSDGsに関しても会計の様に数値管理していくことが今後(もしくは既に)求められるため、本質は何か考え、評価指標について自身の考えを作っていく。

経営における会計の役割を知り、業務に活かしたい

会計は経営におけるコックピットのメーター

企業を長期的に発展させていくためには、適切な意思決定を繰り返していく必要があります。そして、そのためには企業の経営状況を正確に把握する必要があります。

そこで稲盛氏は、

経営に関する数字は、(中略)飛行機の操縦席にあるコックピットのメーターの数値に匹敵するものであり、経営者をして目標にまで正しく到達させるためのインジケーターの役割を果たさなくてはならない

と考えました。

またコックピットに表示される数値と現実の値にタイムラグがあれば飛行機の操縦を誤ることから、会計も遅滞無く企業の経営状況が反映されなければならないと考えました。

それが、「一対一対応の原則」と「完璧主義の原則」に繋がっています。

また、目的地が無ければコックピットのメーターは意味を成しません。同じように経営における目的地である目標は重要なものです。

「予定」つまり「目標」は経営者の意思の表現であり、自らの手で新たにつくり出そうとしていくものを描き出したものである。その意味で予定は決して変更されるようなものではなく、(中略)仲間と一緒にどんなに環境が変化しようと最後までめざすべきものなのである。

会計が分からなければ真の経営者になれない

その部門の売上、経費の内容を見ていくと、ひとつの物語のようにその部門の実態がわかってくる。その部門の責任者の顔を思い浮かべながら、「こんなに無駄な費用を使っている」「材料代が売上に占める割合が大きすぎる」と経営上の問題がひとりでに浮かび上がってくる。

このように注意深く月次決算書を見ていると、工場へ行き、問題のある現場を通りかかったときに、「ここは先月こうだったな」と思い起こし、どこが問題なのかを、即座に指摘することができる。その現場の責任者が注意をした通りに対策を打っていると、翌月の月次決算にすぐあらわれる。こうして会社全体の実績がよくなっていくのである。

(中略)

経営者自身が会計を十分よく理解し、決算書を経営の状況、問題点が浮き彫りとなるものにしなければならない。経営者が会計を十分理解し、日頃から経理を指導するくらい努力して初めて、経営者は真の経営を行うことができるのである。

下手に要約するより、原文の方が伝わるものがあると思い、心に残った部分を引用しました。

私の学び

経営状況を見ただけで把握できるようなダッシュボード(まさに飛行機の計器盤のイメージ)作成に取り組むも、そもそも経営にはどんな情報が必要なのか?と思ったのが、本書を手に取った経緯。冒頭に会計は企業経営における飛行機の計器盤と同じという話が出てきた時は思わず興奮してしまった。

大企業であれば部長や事業部長もその部門の経営者と言えるので、同様の意識が必要。

DXを推進する立場としては、企業運営や部署運営に必要な情報の自分なりの仮説を持った上で、責任者の人たちに話を聞く活動をしていきたい。

また、現場の問題点も分かると稲盛氏は仰っていることから、現場に合ったダッシュボードを作ることも必要。ただ、現場視点から作るのではなく、経営視点からブレイクダウンする形で作るのが良さそう。

飛行機の計器盤を考えると、計器盤に表示される項目がオリジナリティに溢れているとパイロットが混乱してしまうので、ある程度決まったフォーマットがあると思う。

それと同じように企業経営や部署運営に必要な情報も各々に異なるのではなく、ある程度の共通解があるのではないか?

本書では、会計の中身自体にはあまり触れられていないので「財務諸表3票一体理解法」を読んで勉強していきたい。

最後までお読みいただきありがとうございました。

「この本を読んでみようかな?」と思われた方はこちらから購入してみてはいかがですか?