社内DXに取り組む私が読んだ本を紹介するブログ

30代男性がDX推進に苦戦する中でヒントを得ようと読んだ本の学びをシェアします。

【書評】確率思考の戦略論

訪問いただきありがとうございます!

この本は以下のような課題をお持ちの方にオススメです。

  • 戦略を定量的に立て、関係者への説得力を高めたい
  • 立てた目標を達成するための効果的なアプローチを知りたい

これらの課題について、本書の概要と社内DXに取り組んでいる私の学びを書きます。

戦略を定量的に立て、関係者への説得力を高めたい

本書では、ビジネス戦略の成否は「確率」で決まっていると述べられています。

複数の人間が一定期間中に特定の行動をした回数の分布は負の二項分布(NBDモデル)に従うことが分かっています(本書の中では、パンケーキを1週間に食べた回数)。

これと同様に、消費者が商品を購入する際に、商品カテゴリーの中から何を選ぶか?ということも数式で表現することができます。

パンケーキの例は「回数」を、商品購入の例は「商品」を選んでいると言えるから同様の考え方を適応できるんだね。

パンケーキを食べる回数にパンケーキがどれだけ好きかが影響するのと同じように、商品に対する好意度(プレファレンス)が影響します。そして、好意度によって数学的に選ばれる確率が決まるため、戦略が成功するか否か、成功するためには消費者からどれぐらい好まれていないといけないかが分かるようになります。

本書を読めば、USJの資金力では大博打であった「ハリーポッターエリア」の建設を例に、数学を駆使して周囲を説得し、実行した内容を知ることができます。

ここから何を学んだ?

何かを選択する行動を数式でモデル化できることを知れて良かったです。

商品もブランドも選ばれる確率は消費者のプレファレンスに従い負の二項分布(NBDモデル)になる。

購買行動を数式でモデル化できるのか!?と素直に驚き。マーケティング業務をしている人にとっては常識なのだろうか?

私は社内DX推進に全社員を巻き込むため、社内SNSでの情報発信をしているが、全体への影響を持ち始める反応の数や変革に前向きな層が増え始めた兆候も数式でモデル化できるのだろうか?と思ったので、書籍を探してみることにした。

戦略、つまり経営資源の配分先は、結局のところPreference(好意度)、Awareness(認知)、Distribution(配荷)

プレファレンスが売上の最大ポテンシャルを決め、認知と配荷が最大ポテンシャルを発揮できる割合を決める。しかしながら、認知と配荷にプレファレンスが影響するため、プレファレンスに最も焦点を当てるべき。

DX推進部署のような間接部門は、企業の利益を生み出している事業部門からするとお金を無駄遣いしている部署と思われがちである。まずはDX推進部署へのプレファレンスを高めるために、「会社や自分たちにとって価値ある活動をしている」と思ってもらえるよう活動の質を高めることに注力する。

その後、認知を高めるための情報発信や情報を直接届けるための活動を行っていく流れが良いと考えられる。現在は、活動自体は走り始めているので伝えるところも力を入れていく。

立てた目標を達成するための効果的なアプローチを知りたい

目標を立てた後は、目標を達成した状態を定量的に定め、戦略を立てていきます。筆者は、目標達成時と現在のギャップを定量化しながら徹底的に想像しているそうです。

例えば、3年以内に1000万人の集客を達成したいと目的に掲げた2010年のUSJの場合。

  • 1000万人のパークになるには、ブランドの強さはどの程度必要か?
  • 年齢・性別・エリア別でUSJのプレファレンスはどうなっているべきか?
  • 通常チケット入場者と年間パス来場者の割合は?
  • 組織にどのような人材が必要か?
  • 新たに整備すべき組織システムは何か?

等の要素を徹底的に洗い出しています。

そして、それらの数値の妥当性を需要予測などを用いて検証し、もっとも達成に現実味のあるシナリオを明確化することで戦略が完成します。

これは現状から目標到達までの階段のようなもので森岡氏は

どんな高い壁でも、階段さえ作れば登れる

と言っています。

また成功確率を高めるために、一度考えたシナリオとは異なるアプローチで目標を達成する戦略を考えます。これによって当初のプランの脆弱さや盲点に気づくことができます。

戦略立案においてもうひとつ重要なことは「感情」を入れないことです。

数学的に最も成功確率が高いとされる戦略であっても、上位者のひと声や社内政治による忖度などで捻じ曲げられてしまうことは往々にしてあります。しかし、そのようなことをしていては戦略の成功確率は下がってしまいます。まさにダーツの中心部分が戦略の成功、それ以外を戦略が成功しないとした場合、中心を狙わずして中心部分にダーツが行く確率が高くなるでしょうか?という話です。

ここから何を学んだ?

仕事に取り組む以前の考え方をアップデートできました!

日本人の相手はサイコパスだと思った方がいい

サイコパスと聞くと悪いイメージを持つかもしれませんが、「感情的葛藤や人間関係のしがらみなどに迷うことなく、目的に対して純粋に正しい行動をとれる性質」のことを言います。そして、戦略立案、戦略実行という意思決定は、誰かが確実に損をする、誰かの意見を否定するなど心理的負荷をともないます。海外企業で長く働いてきた森岡氏の感覚では、日本人ならば「そんなエゲツないことはちょっとできない」とためらうことも、彼らは目的に対して正しければ平気でやれてしまう。

グローバル化が進んだ現代では、そのようなサイコパス性の高い人々が戦う相手ということは忘れてはならない事実。私が勤める企業も海外に関連会社が多数あるため、グローバルにDXを推進する施策も多々あるため、日本の常識は海外の非常識であることを強く意識したい。

合理的に準備して、精神的に戦う。

森岡氏は、戦術面での強さ、現場の団結力、士気や規律意識の高さ、勤勉さなどは、日本人の卓越した強みと言っています。日本にいると当たり前と感じてしまいますが、海外も知っている人からすると大きな強みということは、先ほどの戦う相手はサイコパスと共に覚えておきたい。

確率思考をはじめ戦略の合理性を増すことは、日本人の戦術面の強みをもっと活かすことに他なりません。100%は絶対にない世界で、残りの数%なり数十%なりの不確定さや想定外の困難を乗り越えていくのは、ぎりぎりまで戦術にこだわって確率を高めていく、戦略家本人の意思の力であり情熱の力です。

大きな目標は立てるが、その状態を定量的に表現できずに達成できなかった経験は何回かしているので、決意を新たに徹底していく。

また、ジャンルによっては定量化するための数式があるものもあることを知った。知っているか知らないかで大きな差が生まれてしまうので、情報収集や勉強を続けていく。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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