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この本は以下のような課題をお持ちの方にオススメです。
- 社内文化を変革に取り組んでいるが行き詰っている
- 間接部門の会社への貢献って何だろう?と悩んでいる
- チームリーダーとして部下の育成方法に悩んでいる
DXの必要性が声高に叫ばれる現代ですが、デジタル技術はあくまでツールなので、考え方の変化や変化を受け入れる風土への変革が必要と言われています。ですが、簡単なことでは無いので、悩んでいる方は多いと思います(私もその一人です)。
またDXを推進する部署は基本的に間接部門ですが、実際に利益を生み出す事業部門と異なり、自分たちの価値がふと分からなくなる時があるかもしれません。そのような組織を率いるリーダーの方はなおさら悩みは尽きないかもしれません。
これらの課題について、本書の概要と社内DXに取り組んでいる私の学びを書きます。
社内文化を変革に取り組んでいるが行き詰っている
大阪ガスのデータ分析組織「ビジネスアナリシスセンター」は、発足当時の便利屋的な立ち位置から社内の各部署から信頼され様々な依頼が来る組織となるまでに様々な困難を乗り越えてきました。簡単ではないことが分かりますが、乗り越えるべき壁が明確になります。
事業部門と連携する壁
データ分析には3つの力(見つける力・解く力・使わせる力)が必要ですが、いずれの力を最大限に発揮するためには事業部門のことを良く知り、事業部門と良好な関係性を築く必要があります。
なぜなら
- 価値ある問題設定をするためには事業部のビジネスを知ることが必要
- 正しい解を出すためには事業部が扱う技術の原理原則を知ることが必要
- データ分析結果を使ってもらうためには事業部からの信頼が必要
だからです。
本書を読んでいて事業部の意識が低すぎる気もしたが、自分が事業部にいた時を振り返るとデータ分析組織がそれぐらい主体性を発揮することが、実際のところ必要なのだと感じる。
会社の経営に貢献する壁
事業部と連携する壁を乗り越えると特定の事業部への貢献は問題なくできるようになります。しかし、そのままでは全社的に貢献する組織ではありません。また、事業部にとって重要な課題であっても全社的に見れば重要でない可能性もあります。
間接部門は全社に貢献すべき組織なので、特定の事業部に貢献できている状況に満足し、やり取りのしやすい状況(コンフォートゾーン)から抜け出す意思が必要です。
私の学び
データ分析者に必要な力は「見つける力」「解く力」「使わせる力」の3つ。
データ分析というと解くことに注意を向けがちだが、企業にとって意味のある問題を見つける力とデータ分析によって得られた結果を依頼者に使ってもらえるようにする力も重要。
見つける力が無ければ、成果に全く繋がらない問題や全体最適ではなく部分最適にしか繋がらない問題を提起してしまうことになる。スタートが間違っているとその後をどれだけ頑張っても意味は無い(むしろ頑張れば頑張るほど悪い)。
また使わせる力についても、依頼先の部署がデータ分析の結果を使って収率や収益を向上させなければ、そのデータ分析に価値は無い。
企業に勤めている以上、その企業に貢献できたか否かという軸は忘れてはならない。
間接部門の会社への貢献って何だろう?と悩んでいる
意思決定プロセスの変革・データ活用風土の浸透
データ分析によって従来の勘と経験に頼った方法よりも良い方法を見つけることができます。しかし、それだけでは成果とはなりません。現場がその結果を使って成果を出して初めて、データ分析が貢献したと言えます。
そういう意味で、データ分析組織の会社への貢献とは、
「データ分析によって得られた解を活かして意思決定プロセスを変革すること」
と言えます。
そして、その貢献度合いは経営に近づけば近づくほど大きくなります。
また、データを活用する風土を浸透させたことも功績として挙げられます。データ分析による価値が社内で広まると、次第に「データを活用すれば成果を出せるかもしれない」とデータ分析組織以外も主体的にデータを活用するようになりました。
このようにデータ分析組織の会社への貢献は
- 意思決定プロセスの改革への寄与
- データを活用する風土の浸透
の2つです。
私の学び
人事や経理など他の組織でも同じように会社への貢献を考えることができると私は考えます。人材データや会計データを活用して、会社をより良くしていくための経営への提言は長期的に見て企業への貢献度合いは大きいでしょう。
また、人事や経理の仕事内容や企業運営の中で担う役割について全社員に教育することで、自分の仕事以外の視点を持つことも長期的に見て効果的だと思います。
特に会計の知識などは、私自身、事業部にいた時は考えたことなどありませんでしたが、「稲盛和夫の実学 経営と会計」を読んで、事業部時代から必要な学びだったと実感しました。
チームリーダーとして部下の育成方法に悩んでいる。
データ分析組織として社内からの信頼を得た後、永続的に発展していくためにはチームメンバーの育成が重要です。一企業のデータ分析担当者は役職に限らず、企業内の様々な課題の解決が業務であるため、一貫した能力開発が難しい側面があります。
また、一括採用後に各部署に配属されるシステムの影響でデータ分析者を志して配属されたわけではない可能性もあります。そのため、各部員が自信のキャリアパスを描きにくく、モチベーションを維持できないという課題があります。
ここにも乗り越えるべき壁がありました。
分析組織のメンバーを育てる壁
データ分析組織では、一般的な能力開発であるロールモデルを見つけて、それを目指すということができません。
しかし視点を変えれば、自分でロールを作ることができます。なので、データ分析の3つの力「見つける力」「解く力」「使わせる力」を念頭に置きつつ、各部員の能力開発を進めます。
その後、外部コミュニティへの参加を奨励し、より市場価値の高い人材となることを目指させています。
モチベーションを維持する壁
モチベーションを維持するためには業務を通した成長が不可欠です。
そして、成長を促してくれる仕事は責任と成果が明確です。組織のリーダーは各部員の力量を冷静に見極め、データ分析の「見つける→解く→使わせる」の最初から最後までを一貫して任せることで、責任と成果を明確化する必要があります。
また似たような分析案件を複数回扱うことによるマンネリ化を防ぐために、一度扱った分析案件は事業部門に任せることも行っています。事業部門との軋轢が生じかねない調整ですが、組織のリーダーが先頭に立って行うことで、部下のモチベーション維持に努めています。
私の学び
組織のリーダーは部下の力量や考えを把握するために注意深く観察する必要があると感じた。もちろん各々のメンバーが主体的に能力開発をするのがベストだが、そうでない場合はリーダーが努力しなければならない。
メンバーのことを知り、成長のプロセスを描くことは簡単な仕事では無いので、「プレイヤーとマネージャーは違う」ということを改めて感じた。
マネージャーになったタイミングで、これまでの仕事のやり方ではダメなのだと頭を切り替え、仕事の采配をしていきたい。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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