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この本は以下のような課題をお持ちの方にオススメです。
- 組織のあるべき姿について模索している
- 社内文化の変革に取り組んでいるが行き詰っている
「1人の力でできる仕事は無い」とはよく言いますが、具体的にどういう組織なら良いのか言語化するのは難しいですよね。
また言語化できても組織を実際に変えていくのは、様々な抵抗勢力の影響で更に難しいと思います。
社内DXに取り組んでいる私もこれらの課題に直面しています。
しかし、人の本質を理解することでこれらの課題を解決できるかもしれません。
組織のあるべき姿について模索している
理想の組織=人体
人体は「環境に適応して生存する」という目的を果たすために、各部位が互いに役割を果たし合う「共依存関係」にあります。
仮に各臓器が足を引っ張り合い、互いの働きを阻害するようなことになれば、人体は生存することができません。
森岡氏は組織も人体のような共依存関係が理想だと考えています。
企業では、「急激に変化する市場環境に適応して、収益を上げる」という目的を果たすために、生産部、営業部、マーケティング部、研究開発部、、、などの様々な部門が各々の専門性を活かします。
また、一つの組織内でも組織の目的を達成するために、各自が各々の役割を果たします。部長や課長、一般従業員といった役職は上下関係ではなく、意思決定をする、現場の情報を収集する、というように役割が違うだけです。
人間の本質「自己保存」を逆手に取る
ただ実際には、部門間で足の引っ張り合いをしていたり、管理職の機嫌を取るために労力を割いていたりと企業全体の目的に反した行動が行われている光景は珍しくありません。
なぜそのようなことが起きるのか?というと、個人の目的と企業の目的は必ずしも一致しないからです。
人間は「自己保存」という現状を維持しようとする強い性質を持っています。
そのため企業全体にとって良いことであっても自身は不利益を被る場合、自分を守るために抵抗します。
部署単位などの組織であっても自部署が不利益を被り、管理職の評価が下がる場合は同様に抵抗勢力となることは避けられません。
逆に、行動しないことによって自身が不利益を被る場合、人は自分を守るために行動します。
企業は個人の自己保存と企業の目指す方向が同じになるように人事制度や評価制度を設計することが必要です。
私の学び
社内DXを推進する立場としては、1つの部署だけDXを推進した結果、業務の繋がりがある他部署との整合性が取れなくなったという事態にならないようにしたい。
そのためにはメーカー業務の川上から川下にあたる原料購買や設備管理から販売までの繋がりをまず把握することを心がける。
また自己保存の本能については、他部署との協業が不可欠なDX推進部署としては常に念頭に置く必要がある。
全社最適の観点で正しくても、短期的に手間が生じる、自分達のパフォーマンスが定量的に分かるようになり評価が悪くなるかもしれないといった考えから自己保存の本能が働き、提案が通らない可能性を考慮した準備をしていきたい。
社内文化の変革に取り組んでいるが行き詰っている
大きな権限を持っていない自分でも会社を変えることができるのか?と不安になることがあるかもしれません。
しかし、著者の森岡氏はUSJの部長職時代に大博打であった「ハリーポッターエリア」の建設を承認させるという変革を成し遂げています。
意思決定者は立場も年齢も上の人ばかりという環境の中で外様の著者が成し遂げたのです。
私もできると信じてやるしか無い。むしろなぜ信じれないのか?と言わざる負えない気持ちです。
ただ気持ちだけではもちろんダメで、困難な挑戦であるからこそ入念な準備が必要です。
変えたいことは組織の戦略に沿っているか?
担当者レベルでも会社を変えていくことは可能ですが、提案の視座も担当者レベルでは採用されません。
なぜなら意思決定者はさらに高い視座で企業や組織運営を考えており、担当者にとって大事なことでも意思決定者にとっては大事では無いからです。
例えば、売上比率1%未満の製品と10%の製品であれば、10%の製品が大事なのは明らかです。しかしながら1%の製品の担当者にとってはそれが全てになってしまい、全体を捉えた提案ができずに却下されてしまいます。
なので意思決定者の戦略、会社の戦略に沿った提案をすることは必要最低限の条件です。
ターゲットに響くよう入念に準備する
提案が会社の戦略に沿っているだけでは十分ではありません。
意思決定に影響を及ぼす人をターゲットに定め、Who・What・Howの観点でその人に響く提案方法を考える必要があります。
まずWhoでは、意思決定者は組織全体のことを考える人なのか、それとも自身の自己保存が最優先なのかをまず把握します。
Whatでは、提案内容にやりがいや実現可能だと思わせるストーリーを盛り込みます。
最後にHowでは、相手のコミュニケーションスタイル(プッシュorプル)に合わせて、自分の提案を相手が聞きたいように伝える方法を考えます。
これら全てを徹底的に準備することで、相手が自分の提案を好意的に捉えるようになり、承認してもらえる可能性が最大化します。
私の学び
上司は現場のことが分かっていないと燻っていた工場勤務時代は、これらの準備を全くできていなかったと本書を読んで反省した。
他部署を巻き込むことが不可欠なDX推進では、全社の目標だけでなく関係部署の目標や意思決定者のタイプなど把握する努力が今まで以上に必要となる。
一朝一夕で身に付くものでは無いが、様々な意思決定者とのやり取りを求められる環境はこの上ない成長機会とも言える。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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