社内DXに取り組む私が読んだ本を紹介するブログ

30代男性がDX推進に苦戦する中でヒントを得ようと読んだ本の学びをシェアします。

【書評】生産工場のDXがよ~くわかる本

訪問いただきありがとうございます!

この本は以下のような課題をお持ちの方にオススメです。

・製造業における工場運営の基本を学びたい

・生産工場におけるDXネタのヒントを得たい

私は生産部署を経験した後にDX推進部署に異動しています。

その経験から生産部門のDX推進を担当していますが、思いつくネタの少なさに課題を感じていました。参考になることは無いかと本書を手に取ったところ、そもそも工場運営の本質的な知識が不足していたことに気付きました。

DX推進者はもちろん、製造業に従事して日が浅い方が基本を押さえるために読む本としてもオススメです!

割りと網羅的に書かれた本なので、個人的に忘れないようにしたい部分をピックアップして紹介します。

製造業における工場運営の基本を学びたい

製造業の利益は3つある

まず初めに製造業の利益は3つあります。

  • 第1の利益:営業利益(売値と製造原価との差の利益)
  • 第2の利益:直接費圧縮利益(自動化・省力化により製造原価を削減して得られる利益)
  • 第3の利益:管理利益

成長段階にある市場では売れる製品を売り出すことで第1の利益を得ます。そして、小品集・大量生産時代でもあるので、自動化と省力化により第2の利益も追求してきました。

しかしながら、市場が成熟した現代では多品種・少量生産となり他社との差別化や自動化・省力化による利益追求は頭打ちになっています。そのため、第3の利益獲得が今後も生き残るために不可欠となっています。

第3の利益は生産現場のムリ・ムラ・ムダを解決または改革することで得られます。ムリ・ムラ・ムダは全体で見ると大きいものの一つ一つは小さいため、データによる実態把握が困難でした。

しかし、昨今のデジタル技術の発展によりデータ採取と解析が容易になったことで、第3の利益に切り込むことが可能となりました。

コントロール管理とマネジメント管理

製造業の運営は、コントロール管理とマネジメント管理によって行われます。

コントロール管理とはQCD(品質:Quality,費用:Cost,納期:Demand)の目標を達成するためのものです。費用に着目すると製造原価がありますが、製品毎の実績原価はバラつきます。

言われてみれば当然で、製品一つ一つの生産で見るとスムーズに行ったものもあれば、トラブルや不手際によってロスを伴ったものもあります。

ロスによって余分に消費された原材料や時間(人件費や機械占有時間)は製造原価に乗るため、スムーズに生産できた製品と比較して製造原価は高くなります。

マネジメント管理とは経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)を活用して業績を向上させるためのものです。情報資源の活用が最も遅れていると言われており、第3の利益を得るためには、1日といったマクロな情報ではなく、1作業レベルのミクロな情報が必要です。

このミクロな情報は、これまで取得が困難でしたが、デジタル技術の発展により容易になっています。

生産工場におけるDXネタのヒントを得たい

新たなデータが照らす実態

製造現場のデジタル技術に代表されるIoTを活用することで従来の技術では捉えられなかったことや目には見えないミクロな情報を取得できるようになり、工場運営の実態をより詳細に把握できるようになりました。

特にムラ(品質などのバラつき)に関して、大きな効果が期待されます。品質管理は規定値の範囲内に収まるように行われています。

そのため規定内で推移している場合は特に課題が無いように思えますが、ロット毎の実績原価を把握すると±10~30%のバラつきが生じています。

最も成績の良いロットをBMとして、生産方法を最適化することで更に安定した品質管理を達成することができます。

このように詳細にデータを取れるようになったことで明らかな課題以外からでも改善のテーマが見つかるようになります。

実績原価を明らかにして経営戦略を変革する

製品毎の実績原価が分かることで、コストダウンによる改善だけでなく経営戦略の変革も可能となります。

実績原価が明らかになることで工場の実力や銘柄毎の製造難易度を定量的に把握することができます。

そこに現在の売値や利益貢献度を重ねることで、他社が追随できない販売戦略やより利益を生む銘柄への選択と集中などこれまで感覚的に行っていた経営戦略を定量的に行うことが可能になります。

私の学び

生産現場の課題というも実際にロスになっているものに目が行きがちだったが、ロスになっていないだけで利益創出に繋がることがあると学んだ。

個別実績原価は把握できていない工場が多いと思うが、自分たちはできていると思っているかもしれない部署に生産部署外の人間となった自分がどのようにアプローチしていくかが今後の課題。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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