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この本は以下のような課題をお持ちの方にオススメです。
- ビジネスにおける成果の出し方を知りたい
- 社内文化を変革するヒントを得たい
- キャリア形成に悩んでいる
これらの課題について、本書の概要と社内DXに取り組んでいる私の学びを書きます。
ビジネスにおける成果の出し方を知りたい
本書では、ビジネスにおいて成果を出すためにはマーケティング思考が必要だと述べられています。
マーケティングとはセールス(=商品を売る)と反対の言葉で、消費者に商品を選んでもらえるようにする活動のことです。そして、商品を選んでもらうためには消費者が何を望んでいるのかを消費者以上に理解する消費者視点が必要なため、マーケティング思考とは消費者視点で考えることと言えます。
これまでの日本の市場環境では、政府に保護された市場で高い技術力を持った企業の製品が選ばれていたため、多くの日本企業はマーケティング力を伸ばす努力をしていませんでした。一方、海外では競争を勝ち抜くためにマーケティング思考が必須だったため、名立たるグローバル企業(著者の古巣であるP&Gなど)は高いマーケティング力を持っています。そして、市場の成熟によって技術力の差は小さくなり、グローバル化によって海外企業との競争を避けられなくなっていることから、日本企業も生き残るためにマーケティング力が必要となっているのです。
そのような環境下で、森岡氏がマーケティング本部長及び、CMO(最高マーケティング責任者)を務めたUSJで、戦略的にマーケティングフレームワークを活用し、顧客視点の仕事を徹底しました。その結果、経営危機に陥っていたUSJをV字回復させ、1か月だけでも商圏人口が3倍以上の東京ディズニーリゾートの集客数を上回ることを可能にしたのです。
ここから何を学んだ?
3つのことを学びました!
失敗の鍵は全員を喜ばせようとすること
商品を買う確率やニーズは消費者によって偏りがあるため、万人受けを目指すと誰に対しても中途半端なものになり、誰からも選ばれなくなってしまう。
社内でもDX推進に積極的なところ消極的なところといったように社員を巻き込めるかどうかの期待値に違いがあったり、DX推進によって利益率を高めることの影響度は部署によって異なる。ターゲットを絞って施策を検討するのも1つかもしれない。
市場構造を逆らった戦略の成功は難しい
市場はメーカーの事情、流通の事情、無数の消費者の事情など様々な事情がぶつかり合って一定のやり方に収まっており、ある種の安定状態になっている。その仕組みに逆らった戦略は、仕組みに沿った戦略と比べて多くのエネルギー(リソース)を必要とするため成功することは難しい。
DX推進を共に進めたい各部署には大なり小なり特有の事情があるはずなので、こちらの事情を一方的に押し付けても、流れに逆らってしまうことになり成功は難しい。全社的に見て良いか悪いかはいったん脇に置いて、理解してする姿勢を持ち、必要であれば変えていくやり方が最初は良いのかもしれない。
消費者が欲しいのはドリルではなく穴
お客さんがUSJに求めているのは「アトラクション」ではなく「感情」。
東京ディズニーリゾートでは「幸せ」、ゲストへの聞き取りでは「ミッキーに会うこと」といった回答が返ってくるが、その結果どうなりたいのか?と繰り返し問うことで、本当に得たいものに辿り着く。ここを適当にしてしまうと誤った訴求をしてしまうことになり失敗する。
社内のDX推進で考えると、「なぜDXに取り組む必要があるのか?」の前に、「なぜこの会社で働くのか?」という問いから始め、DXの達成で求めているものが手に入りますよ、という訴求が必要なのかも?と感じた。
社内文化を変革するヒントを得たい
「消費者の方を向いて仕事をする」のは当たり前のことでは?と思うかもしれませんが、意外と難しいどころか対策無しでは困難だと筆者は述べています。それは、人間は自分の利益を優先する生き物であり、会社全体の利益と個々の従業員の利益は必ずしも一致しないからです。
例えば、A部門とB部門が共同で新メニューを開発している場面で、A部門はカレーを、B部門はすき焼きを提案していたとします。消費者理解の結果、カレーが望まれていることが分かっていたとしてもB部門の人が自己保身に躍起になって譲らなかったり、A部門の人が社内の軋轢を避けるために譲歩するなどして「カレーすき焼き」という落としどころに落ち着きます。これでは消費者の方を向いて仕事をしているとは言えません。この例は極端ですが、顧客の利益よりも個人や組織の利益を優先してしまう場面はあるのでは無いでしょうか?
このような場面でも、マーケターは顧客視点に立って、社内の利害関係をぶった切って関係者を説得して巻き込んでいく姿勢が求められます。そうしている内に、顧客視点の業務遂行が会社の文化になっています。
ここからは何を学んだ?
DX推進にもマーケティング思考は大事だと学んだよ。
社内文化の変革にもマーケティングが有効
日本企業の多くは技術志向に偏り、マーケティング力を軽視してきました。しかし、技術志向で会社を発展させてきた人達が現在の上位層なので、過去の成功体験に捕らわれることなくマーケティング力向上に意識改革できるか否かが、今後の繁栄に大きく影響する。
DXに関しても同じことが言える。これまでの方法が通用しなくなる中で、新しい考え方をいかに取り入れてもらうかが肝になってくる。30代の中堅層としては功労者にリスペクトを持ちつつ、時代が変わっていることをいかにして伝えるかを考え、DXという取り組みに主体的に関わってもらう社内マーケティングを実行していきたい。
キャリア形成に悩んでいる
筆者はキャリア形成において大事なことは3つあると言っています。
- 会社ではなく職能(スキル)を選ぶ
- 職能によって収入の幅はある程度決まっている
- 強みを生かせる職能を選ぶ
著書の森岡氏は現在51歳ですが、就職活動時から終身雇用はいずれ終わるので、市場価値の高いスキルを得られる仕事かどうかという軸でP&Gに就職しています。また職能によって市場価値は変わるため、自分の目指す職能がどの程度の給与水準なのかを知っておくことも重要だと言っています。お金が大事というわけではなく、判断基準の一つとして忘れてはいけない要素です。
最後に、自分の好きなことから強みを見つけ、それを生かせる職能を選ぶことも重要だと言っています。弱みを克服しようと辛い思いをするよりも、強みを生かして仕事をした方が成果も出しやすいでしょう。最後にキャリアについて本書の中の好きな一節を紹介します。
ナスビはどうやってもキュウリにはならないのです。キュウリが大好きな上司が、ナスビを無理やりにキュウリにしようとすると、その部下は残念なナスビにしかならないのです!ナスビをとてつもなく立派なナスビにすることをもっと意識した方がよいのです。
ここからは何を学んだ?
キャリアチェンジによって自分が好きで得意な「教える」ことをできるようになったので、バリバリやっていきたいと思ったよ。感想だけど。
強みを伸ばして成功する
理工系の大学院を卒業したため、技術職としてメーカーに就職しましたが、正直なところ科学を本質的に突き詰めるのはあまり好きではありませんでした。受験勉強に気合いを入れすぎて、身の丈以上の大学に入り、周りの友達との学力差に軽く自信を無くしていたのも理由かもしれません。
一方で、大学・大学院時代に6年間続けた塾講師のアルバイトでは、給料も出ないので生徒一人ひとりにあった問題集を自作するほど熱中しました。今は、教えるものが「DX」に変わりましたが、当時と同じように高い熱量を持って仕事に取り組めています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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